ネットワーク化は家電にまで

 インターネットへの接続機能をもった家電が発売され、外出先からの遠隔操作が可能になる日が近づきました。
 東芝、日立などのメーカーが本格的な販売に乗り出し、その一番手として発売されたのは、ネット機能付き冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、エアコンなど。
 これによって今後インターネットを経由して冷蔵庫のドアの開閉を確認したり、食材の管理を行ったり、はたまた携帯電話でエアコンを遠隔操作できるようになるでしょう。またインターネットからレシピをダウンロードし、調理機器を制御することなども可能になると思われます。

 ただし今の時点ではネット機能搭載によって価格が高くなる、別売の専用パソコンが必要になる、さらには東芝はネット家電を無線でつなぐのに対して日立は家庭の電気配線を用いるなど各メーカの製品間に今のところ互換性が無い等々の問題が残っています。
 差し当たりこれらは消費者にとっての大きな障害となるでしょう。
 そして家電のネットワーク化が普及する前提として、通信網の整備の問題も挙げねばなりませんが、インターネットの利用が日常化すると、接続される機器を識別するための「IPアドレス」が決定的に不足することが予想されます。その対策もいま真剣に取り上げられつつあるのです。
 このことを次に述べる次世代インターネットのプロトコルに見てみましょう。

「IPv6」って何? ―次世代インターネットのプロトコル―

 

 「IPv6」は Internet Protocol version 6 の略称。
 ご存じのように、インターネットは世界中に張り廻らされたクモの巣(web)状のネットワークのことですが、これに接続される機器には、それぞれを識別するため、「IPアドレス」というものが割り当てられます。
 これは丁度通話のための電話番号に相当し、自分のパソコンをインターネットに接続する際には必要になるのです。
 これまで使われてきた「IPv4」は32ビットで割り当てられ、この数列の総数は2の32乗、約43億個になりますが、世界の人口には満たない数です。しかも最近常時接続が急速に普及し、ネットワークのブロードバンド化が進んだため、接続される数が急激に増加し、IPアドレスが不足してきている状況になっています。

 不足しつつあるアドレスを増やすために、以前からその対策が検討されてきましたが、ここにきていよいよ次世代プロトコル「IPv6」の出番になりました。

 「IPv6」は128ビットでアドレス(2の128乗3.4億×1000兆×1000兆) が割り当てられます。考えるまでもなく途方もない数のアドレスが作られます。  また「IPv6」ではセキュリティ面も向上しました。まさしく未来型のアドレス空間の構築です。

 これからはパソコンに加えて多くの機器がインターネットに接続されるため「IPv6」時代のインターネットは、各アプリケーションに特化した「専用機」の時代となるに違いありません。  パソコン上で動くストリーミング(リアルタイムでデータを送受信する技術)、VoIP(voice over internet protocol ―音声データを送受信するためのプロトコル)などを手軽に使うためには、それぞれ専用端末が必要になります。
 例えば、ストリーミングで動画、音楽を楽しむためのインターネットチューナー、ストリーミング放送、インターネットを使ったIP電話が一斉に普及すると予想されます。
 「IPv6」になると、インターネットを使う家電の操作が実現し、外出先から自宅のテレビの録画予約なども行えるようになると思われるので、インターネット機能を搭載した『ネット家電』は電気製品のヒット作となると予測する向きもあります。

さて問題は「IPv4」から「IPv6」に移行するための技術的/手続き上の問題点をいかに乗り越えるかです。
 現在「IPv4」を使って十分満足すべき利用がなされているのに、わざわざ手間をかけて「IPv6」に変更するメリットはどこに?という疑問もでてきます。 他にも「IPv6」を搭載した魅力的なアプリケーションがまだ開発途中にある点など、実用化を前に足踏みする状況はしばらく続くと見られます。
 インターネットに接続するためのIPが十分提供されても、これを実行するケーブル(LANケーブル)で家電をいちいち繋ぐことは面倒です。その対策も必要でしょう。
 「IPv6」の普及に向けて各方面の動きは活発になってきました。
電気機器、パソコンのメーカーはIPv6普及・高度化推進協議会(ipv6)をつくって活動をはじめました。
 http://www.v6pc.jp/
今後の活動に注目したいと思います。 (デジラブ記)

 

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