自分が患者になったとき
自分の身体は自分で守らなければなりません。
もし患者になったときどうする?どこで診療を受け、どんな治療を受ける? 慎重な対応が必要です。
「インフォームド・コンセント(説明と同意)」(本紙1号を参照)のプロセスが大事なことを思い起こしてください。
できるだけ医師に相談し、診断結果の説明を求め、納得のゆく治療を受けるようにしましょう。
診察の結果薬が処方されたとき、「賢い」患者になるために、服用する薬の中味にも関心をもちましょう。
処方薬の内容を納得してから服用しましょう。
薬のことを医師に聞きにくければ、信頼できる薬剤師に相談してください。
薬は両刃をもった剣! 薬の副作用に厳重注意
医師や患者が考える以上に薬の副作用は多いのです。
薬を飲んでいるだけで死ぬということは一般には想像もつかないことですが、医療の現場では決して珍しいこととは言えません。
最近中国からネットで輸入された「やせる健康食品」で多くの被害者が出ましたが、
健康食品といっても、医薬品成分などを含んでおり、この事件の犯人は実際には薬でした。食品という名で隠された薬の副作用でした。
その死因は急性の肝不全です。
この肝障害は肝臓組織が壊れ、意識を失う危険な状態です。ある肝疾患研究会の調査によると、
急性肝不全患者の大半はウイルス性ですが、ウイルスが検出されず、
主治医によって薬剤に由来すると判断された患者さんは3割にのぼります。しかも死亡率は高いのです。
原因とされた薬は、抗がん剤、消炎鎮痛剤、抗生物質、循環器病薬、中枢神経薬、生薬(しょうやく、動植物起源の薬)など、
一般に使用されてきた薬でも起こっていました。特に2月以上続けて服用した場合が多かったのです。
アメリカでの研究結果ですが、各種の調査から推計して、
薬の副作用や処方ミスのため病院で亡くなった患者さんは1年に10万6千人に達するという論文が発表されて衝撃を与えましたが、
助かった被害者はその20倍もいると推計されています。
多くの人に安全な薬でも、体質、すなわち遺伝子の違いで、その薬が自分に合うとは限らないのです。
もしなんらかの変調に気付いたら、服用している薬を疑わねばなりません。
ましてや得体の知れないものを無闇に飲むことはまさに自殺行為ともなることを忘れないようにしましょう。
(この記事は朝日新聞、2002年7月27日に編集委員田辺功氏が書かれた記事を参考にさせていただきました)