「環境ホルモン」とは

 正しくは「内分泌撹乱化学物質」。
これらの物質による環境汚染は、生物が生存する基本に関わるので、将来現われる影響が心配されている。

 例えば最近、工業用の界面活性剤やプラスチックの可塑剤に含まれる化学物質「4‐オクチルフェノール」が、
魚類をメス化する作用をもつことを、環境省が世界に先駆けて発表した。
メダカを水槽に入れて飼う実験で、1リットル当たり94マイクログラムの濃度で、オス10匹のうち5匹の精巣から卵細胞が見つかった。
ただ魚類への影響は、濃度が薄いときには認められないこと、
人体においては蓄積性が低いことから、その影響は少ないとみられているが、
これらの物質が国内で1万トンも使用されていることから、日本石鹸洗剤工業会、日本石鹸洗剤工業組合は、家庭用洗剤への使用を自粛し始めた。

 環境ホルモンは、人や野性の動物の内分泌を撹乱して、生殖機能を阻害し、また悪性腫瘍を引き起こすとされる。

〇「内分泌」とは、外分泌(例えば消化酵素のように分泌管を経由して放出されるもの)に対して言う。
分泌管を経ずに直接血流に放出されるホルモンの分泌など。

〇「ホルモン」は内分泌腺から血管の流れに直接分泌されるもので、『刺激する』という意味のギリシャ語に由来する。
動物が発生する過程で組織の分化、成長、生殖のほか恒常性を調節する役割を果たす。
 「環境ホルモン」の問題が提起されたのは最近のことであり、まだまだ不明なことが多く、今後の課題は大きい。

参考  独立行政法人「国立環境研究所」のホームページ  http://www.nies.go.jp
参考書 シーア・コルボーン著「Our Stolen Future」 1996 邦訳「奪われし未来」1997

 

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