慶応高校寮跡地内の
緑を残したい人々の想いは
ついに一万人以上の署名を集め、志木市長に対して、緑を守る市条例の主旨に基づく指導を開発事業者に求める要請書を提出、また土地を取得した三井不動産、三菱地所に対しては、直接市民が開発計画に参画することを要請、緑を残す市民の想いは、大きな広がりを見せてきた。
「慶応高校の緑に想いを寄せる会(本紙第6号を参照)」は、土地の引き渡しが行なわれる直前に、慶応高校側の許可を得て、現地を行政と市民が直接見学する会を計画した。
十一月二十九日午後、志木市長、関係職員が現地を訪れ、多数の市民も散策の機会を得て、深まる秋を愛しみ、二百五十人もの市民は、掛け替えの無い環境が失われることを惜しんだ。
十数年間寮長として生徒を指導された先生、現高校の生物クラブの先生と生徒も参加され、一同感極まって涙する方もおられた。
このような緑への想いは、ついに志木市と不動産業者を動かし、十二月十一日、三者が歩み寄って協議する会が発足した。
住民の要望の第一は志木市自然再生条例の主旨を基盤として、北側、西側の斜面林の保全に努力すること、第二に志木市の開発指導要綱の基準を上回る緑の保全と再生を開発のプランに反映すること、第三に近隣住民への日照、電波障害などに配慮することであるが、これらの要望は、事業の経済性、環境への影響を、市民自身が生態系の一員として科学する姿勢で見守るというもので、いままでに見られない真剣な力強い活動となってきた。
古い建物の取り壊しは年内には行なわれず、引き続き三者の話し合い(第二回を)十九日に「大原町内会館」で行ない、その後も毎週継続して同館または市役所で開催することになった。マスタープランがいつ提示されるか、それに対して志木市当局と住民の意向がどこまで取り入れられるか、年末年始を挟んで、緊迫する事態も予想される。市民、行政、開発業者の三者にとって、将来重大な影響をもつ協議であることを認識し、真摯な態度で望むことを期待したい。
三者協議の会が始まる(志木市庁舎にて)