「鏡の世界」の
  アミノ酸サプリメント

 近ごろスーパー、薬局、コンビニなどでアミノバイタル、アミノサプリ、ヴァームなどをはじめとするサプリメント(栄養補助食品)を多く見かけるようになりました。
 マラソンの高橋尚子選手がコマーシャルに出たり、実際のレースの栄養補給にも使われたりして運動時の栄養補給効果をもつスポーツ飲料として、また脂肪燃焼つまりダイエット効果があるという健康食品としても消費者に受け入れられて、現在人気急上昇中とのことです。

 これらのサプリメントはアミノ酸が主成分です。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分であり、生物は約20種類のアミノ酸を利用しています。アミノ酸サプリメントは、例えば12ないし17種類のアミノ酸を含んでいます。
 ところでアミノ酸サプリメントの成分表示にL・バリンのようにアミノ酸の名前の前にL(エル)がついている揚合があるのは一体何の意味でしょうか。
 実はアミノ酸の構造には、右手と左手のように像と鏡像の関係にあるD型とL型とがあり、大変不思議なことに地球上の生物はすべてL・アミノ酸から成り立っているのです。したがって栄養になるのはL型であり、D型とL型では味が違います。また、昆布の旨みから見つけられて調味料として広く使用されている成分もアミノ酸であるL・グルタミン酸のナトリウム塩です。

 生物がなぜD型でなくL型アミノ酸を利用するようになったのかが明らかになれば、生命の起源の解明にも役立つと考えられています。地球上ではL・アミノ酸が当たり前であっても宇宙に存在するアミノ酸はL型とは限りません。宇宙のどこかにD・アミノ酸から成り立った生物が存在するかも知れないのです。

 不思議の国のアリスは「鏡の世界」にはいりましたが、これは決して他所の世界ではなく、私たち人間をはじめとする地球上の生物がL・アミノ酸から成り立っていることからわかるように、私たち自身が実は「鏡の世界」に住んでいるのです。(そあい憲三)

病院は安全か?
かしこい患者になるために

 身体に不調を覚えるとき、まず病院に、あるいは普段掛かりつけの医師のところに診察を受けに行く。病気になったとき、私たちは医療機関に頼る。病院はかつては安心できるところと考えられていた。しかし院内感染や手術のミスなど、相次ぐ医療事故のニュースを聞くと、いまでは病院が安全というイメージは揺らいでいる。

 病院で医療事故は何故起こるか?ある大病院で解剖例を調査したところ、患者の死亡原因の14パーセントが抗生物質の効きにくい黄色ブドウ状球菌だったという。病院には患者さんに由来する病原菌やウイルスが集まるのだ。

 各国の調査で、医療事故による死亡者は0.15パーセントから0.4パーセントになるという。
 アメリカ科学アカデミー医学研究所は数年前に、防げたはずの医療事故で亡くなった入院患者は、アメリカ全土で年間4万4千人から9万8千人に達すると発表して衝撃を与えた。その根拠は、一定の率の患者の抜き取り調査で、92年、コロラド州とユタ州の患者1万5千人の2.9パーセントが医療事故にあい、その8.8パーセントが亡くなったという事実であった。ニューヨーク州ではもっと死亡率が高かったという。
 日本では、医療過誤で亡くなった方の数は、1年間に3万人にのぼると推定されている。国立保険医療科学院部長の長谷川先生が日本衛生学会で発表された数字である。

 医療では、どうしても危険は防げない。漫然と病院に駆けつけるというのは得策ではない。安全で有効な医療を受けるために、どんなことに注意すればよいかは、各人それぞれの課題である。

 このコラムを書くさい、本年4月6日「朝日新聞」に掲載された「かしこい患者学」(田辺功氏)を参考にしました。


「シックハウス症候群」とは

 室内の環境が原因で起こる健康障害のこと。病名ではない(また用語として公認されてはいない)。

 新築やリホームの後で、建材、内装材、家具に使われている接着剤、防腐剤その他によって室内の空気が汚れ、症状として頭痛や吐き気、鼻水、せき、目の痛みなどを訴える。

 有力な原因物質と考えられている、シロアリ駆除剤の使用禁止、合板や壁紙の接着剤に含まれる「ホルムアルデヒド」の使用制限が法律によって決められた。

 室内空気の汚染の原因となる粒状物質として、タバコの煙や塵埃があり、また化学物質としては、防虫剤、芳香剤などの生活用品が含まれ、「シックハウス」には、アレルギーや化学物質過敏症なども関わっていて、その対策は単純なものではない。

 とにかく新築、リハウス後の家に住む方は、空気を閉じ込めぬよう、空気の入れ替えを欠かさぬよう注意しよう。

 

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