わたしの残したい風景
生命のいずみ志木市「柏町ふれあいの森」
松本恭子

 志木市における緑地スペースの中で、「地権者の協力により公開している緑地」として、屋敷林から連なる斜面林があります。斜面という地形が織りなす貴重な森林帯には、様々な動植物が生息しており、まさに自然の宝庫といえると思います。
 「柏町ふれあいの森」は神明神社の裏手にあたり、ここ大塚の地に古くから住む地権者の方の協力により、平成5年に保存区として指定されました。面積2080平米の森は、ケヤキ・スギ・クサギ・ツバキ・エゴノキ・コブシの木々が繁り、その夏木立からは蝉しぐれです。森の中は木漏れ日がさし、歩けばいたるところ、落ち葉の間からケヤキ・アオキ・エンジュ・カシ・マテバシイ・ツバキなどの実生が、その光と陰に枝をゆらし、クサギの花の甘い香りに誘われて、クロアゲハが目の前を通り過ぎます。
 ここは私にとっても思い出深い森で、四季折々の散歩道として楽しんだところでもあります。生後間もない息子も、愛犬も、私の手を離れるまでの長い歳月、この森に育まれて生活してきました。ふと気がつくと、最初は頭の芯まで響いた蝉しぐれも散策の時が過ぎて、ミンミンからアブラ,そしてツクツクボウシ、ヒグラシへと声の主役が移ってゆき、日が落ちた森は暗闇の世界です。
 現在、子どもたちとの交流の場として、この森をはじめとした市内にある緑地スペースの活用が始まっています。下草刈りや、自然観察会はすでに行なわれており、森が多くの生き物にとっての生命のいずみであり続けるためにも、大切に保存してゆきたいと思うのです。
 
このコラムおよび挿絵は、「エコシティ志木通信」、第十二号より引用。
絵は松本恭子さん

 

ウォッチング

写真 1、2
木工の体験、木片で楽しく遊ぶ
初雁木材の六月一日の感謝祭で


 

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