薬科大学に入学して
頓宮 香波(新座市在住)
私が現在通っている学校は、明治薬科大学です。五年前に清瀬キャンパスに移転してきたので校舎はとても奇麗です。
校舎の周りには植物が多いし、学校付近は静かで良い環境です。自宅から学校まで近いので時間を有効に使えます。
サークル活動やバイトなど、学生の間にしか出来ないことに空いた時間を利用して使っています。
まだ、一年生ということもあり、時間的に余裕があるけれども大変なことも多々あります。理系科目は難しくなってきたし、実習も増えてきました。
高校の時とは違って、実習は、結果が出るまでは終わらないので、集中力と、班での協力が大切になってきます。
印象的だった実習は、ラットの解剖です。自分の手で解剖して、実際に本物の臓器を見たり、触れたりすることで、臓器の名前や場所、大きさまでも頭に入れることが出来ました。
他には、化学の実習では、様々な薬品を用いますが、その時には一人一人の注意力が重要視されることがわかりました。器具の取り扱いを間違えたり、また、多少の薬品の量の違いで異なる実験結果が出たり、反応しなかったりします。
今だから、間違えてもやり直しが出来るし、それ程大きな支障が起こらないのであって、いざ私達が薬剤師という立場であったら、恐ろしいことです。
多くの人々の命を扱う役目であるのに、失敗しちゃったでは済まされないのです。
現在では、医療事故が多発しています。これは、私達に医療に関する教育、医療人であることの自覚の無さを警告しているものだと思います。人間誰しも間違えることはあるけれども、間違えてはいけないところで誤りを起こしているのです。最近起きた薬剤師の医療事故では、薬品を薄める濃度を間違え、確認するもう一人の薬剤師も、その誤りに気づかず、そのまま患者に渡ったために起きたものです。これはまさに、注意力が欠けているし、パートナーがいる意味もないと思います。
私達の実習でも班で行っていますが、一人一人が今何をやっているかを把握し、決して人任せにしてはいけないことの大切さを改めて思い直しました。
一つ一つの事に注意を払い、自分のやる事にはきちんと責任を持つことを、実習を通して身につけていきたいと思います。
そして一つ一つの講義を意味あるものにするのが私自身の課題です。
私は何でも暗記をしようとしてしまい、思考力が欠けているのです。専門職、特に医療では、絶えず進歩しているので、学部で習った知識だけでは、古い知識のままです。
そこで、私達に求められるのは、医療の現在及び将来の発展の方向に対する洞察力だと思います。洞察力とは様々な知識があってこそ生まれてくるはずです。
だから、私は、もっと物を考え理解する学習の仕方を心がけています。私は化粧品の開発者になりたくて、薬剤師を目指していましたが、今では、人と接し、人を助ける仕事をしたいと思い、臨床薬剤師を目指しています。薬剤師の国家試験に合格すれば、誰でも薬剤師になれますが、決してこれはゴールではないのです。アメリカなどでは、薬剤師は医師と同様に信頼されているし、重要な存在です。
決して日本の薬剤師が信頼されていないわけではないけど、医師と比べるとまだまだ薄い存在です。
私は、病院で、医師と同等ぐらい信用される臨床薬剤師として働きたいのです。そのためには、薬学の知識だけでは足りないと思います。薬剤師なんだから、薬学の知識があるのは当たり前であり、そこにプラスアルファの何かがなくてはいけないのです。
私は、医学についても学びたいし、海外の医療教育を受けて、視野を広げてゆきたいです。
そして、臨床薬剤師には特に必要なコミュニケーション能力も経験を通して身につけて行きたいと思います。
私達は四年制の薬学部の学生であり、期間は短いけれども、一つ一つの事を大切にして、沢山のことを得られるよう、日々努力していきたいのです。
◇ ◇ ◇
キャンパスの一角にある薬草園は、知識を得ながら薬草に親しめる散策路、一般にも公開され、
4〜12月に毎月開催される「ハープや生薬(しょうやく)を楽しむ会」は近くの市民にも好評である。
明治薬科大学の所在地 JR武蔵野線新秋津駅(朝霞台より10分) |
第一歩は薬学に必要な知識、そして人間について学ぶことから始まる
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