MRIって何?
今年のノーベル生理学賞は、医療に欠かせなくなったMRIを開発した三人の科学者に贈られた。
診察を受けにいった病院で、詳しく体の中を診てみましょうと医師からいわれ、ベットの上に横になって、トンネルのような大きな空洞の中に移動した経験のある方もおられると思う。その機械がMRIである。
とてつもなく高価であった診断用の機器だが、いままでに無い画期的な機能をもつものであったため、またたくうちに医療の現場に取り入れられ、普及したのである。臨床に使われる装置の稼働は、昨年すでに五千台に達したという。
その特徴は、体を全く傷つけずに、覗き見ができることである。X線撮影のような被爆(ひばく)はない。体の中をモニターに映し出し、例えば未知がぎっしりつまった脳の中も、覗くことができる。被爆がないので、時間を掛けて観測することができる。人体を宇宙に例えて、「内なる宇宙が見えてきた!」という人さえもいる。
MRIは Magnetic Resonance Imaging 磁気共鳴を用いる画像化、断層撮影のこと。その原理が分ったのは、実は三十年も前のことであった。
物質を形作る分子の中の原子核が、磁石の中におかれたとき、すなわち磁場におかれたとき、発信された電波をいったん吸収し、その後このエネルギーを時間とともに放出する、これを受信して検知するもので、核磁気共鳴『Nuclear
Magnetic Resonance』と呼ばれてきた。
特に一番小さい水素原子は、ほとんどすべての分子に含まれる原子で、電波が放出されるとき、結合している水素原子による電波の放出はそれぞれ異なることから、この計測法は、結合の仕方がわずかに異なる水素原子の結合の仕方を検知して、分子全体の構造を解明するための重要な分析技術となっていった。
生物にもっとも多く含まれる物質は水、その水を構成する水素原子が、一定の磁場で吸収する電波を、時間と共に放出する。放出され方は、水素原子の密度や、同じ部位に存在する他の物質の磁気の強さなどによって違ってくる。その様子を画像化する。医学の診断に使われるようになったMRIは、生体の中の水の状態の違いを画像化するもので、測定しているのは、実は体の中の水なのである。きわめて微小なエネルギーを検出するために、またこれを三次元の画像として表示するという、まさしく今日の最高の技術を駆使したものなのである。
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