茅葺の旧池上家と竹間沢こぶしの里

三芳町立歴史民族資料館を訪ねて

 新座市大和田の英橋(はなぶさばし)を渡り、中野下の坂道を登ると、右手に「歴史民族資料館」の標識が目に入る。
浦所線に沿った崖線(がいせん)が整備され、「こぶしの里」が公開されている。
 崖の下は車の列が唸りをあげて疾走しているが、この里には、こぶしをはじめとして、さまざまな草木が四季を通じて茂り、静かな散策を楽しむことができる。
柳瀬川に沿った台地の縁で、いまも湧き水が流れ、雑木林の下は湿地帯となって、湧水は池に注ぐ。
 
 崖の上の小道は、鎌倉・室町時代に、武士が往来したと伝えられている鎌倉街道、
その証人は、宝暦八年(1758)と記された馬頭明王、安永八年(1779)建立の地蔵菩薩(古井戸地蔵)で、いま「こぶしの里」の入口に立つ。
 


移築された旧池上家住宅


こぶしの里の入り口

 「三芳町立資料館」は、ここと細い道で繋がれている。瀟洒(しょうしゃ)な建物で、
その中には、台地で暮らした旧石器時代、縄文時代、弥生時代の人々の遺蹟が常設展示されている。
さらに奈良・平安時代になって、この台地が開拓されていった歴史をも辿ることができる。

 資料館の外には、移築された、茅葺き(かやぶき)の「旧池上家住宅」が威容を誇る。
江戸時代のおわりから明治のはじめにかけて建てたと推定され、半分がたたき、残る半分が居室となっていて、
台所、かまば(炊事場)、うまや(作業場)、土間に分かれている。

 東上線の「みずほ台」駅から徒歩で約25分、三芳町大字竹間沢877、п@049‐258‐6655、9時開館、月曜日、祝日は休館。入場無料。
 川越街道を行く車は、跡見学園の手前を右折、資料館の手前の専用駐車場が利用できる。

 

 

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