志木市本町商業地域の高層住宅建設
住宅密集地で高層住宅の建設はじまる
志木駅から浦和(さいたま市)行きなど多くのバスの通行する志木市のメインストリートでは、歩道を広げる県の土木工事が進められている。
この大通りに面した二箇所、本町五丁目で、合計すると約三千数百平米(千坪)の敷地に、
15階建ての高層住宅2棟、百五十戸の建設がはじまった。
志木市駅には4、5分、スーパー「ダイエー」や駅前の大型開発で生まれた「丸井」からも至近の位置を占める。
近年新座市域となる志木駅南口には、いくつもの高層住宅が建設され、いまも急ピッチで建築進行中のものもある。
これらは、すでに立ち並ぶ周辺の商業ビルより一層高く、空に向かってそびえ立つことが特徴。
高い容積率は建設業者、不動産業者の魅力であり、一方高層からの眺望もセールスポイントとなるようだ。
これらの地域は元来「商業地域」として線引きされており、少なくとも道路に面した一階は商店やレストランで、
もし容積率の大きさから高層ビルを計画する場合でも、その上に住宅をのせるという姿を皆がまぶたに描いていた。
すでに長い間営業を続けてきた商業者は、自分の店舗を商業ビルに立て替え、
そのときは高層にして上層は住居や住宅にすることを心待ちにしていた。
しかし志木市本町に計画中のマンション群には、商業施設は設けられない。
本町五丁目に建設中の高層住宅の建設では、事業主、建築業者が規定によって説明会を開いたが、
この計画がすでに公的許諾を得ていること、営利事業としての採算などを主張するばかりであった。
周辺にはすでに長い間営業を続けてきた商店、商業ビル、住宅があり、これらの近隣の居住者に取り囲まれ、
その真ん中に建つ高層ビルの建設工事(ほぼ一年かかるという)のなりゆきと、
完成後入居する多数の家族たちと自分の営業や生活をどう整合させてゆくか、
果たして一体それが可能であるのかを危惧し、悩んでいる。
近隣に住む人々は、少なくとも一階には商業地域にとって相応しいテナントを入れて欲しい、入居のときの家財の搬入、
その後の居住者に対しての配送業務のために駐車場を敷地内に設けて欲しい(計画では敷地内にそのスペースが無い)、
また工事中の車両の通行、駐車が近隣の営業を妨げないよう、
また工事の騒音がお客を離散させぬよう配慮されたいむねを申し入れた。
これらの願いがどこまで事業主と建設業者に受け入れられるか、その良識を静かに期待している。
商業地域で高層住宅を建設する業者には、先行する事業主との整合について適切な行政指導を行うべき時が来たようだ。
元来土地を線引きし、「商業地域」として指定することは、商業活動を核としてこの地区の都市化を促し、
市民の暮らしを向上させることを目指すもののはず。
建築物の高い容積率は商業地域として線引きされた区域のいわば特権であって、土地の価格も高い。
一方住宅区域の容積率は低いので、建築物を高層にすると、敷地を広くとることが求められる。
これが樹木の多い緑と広い空、空間の楽しみや豊かさにつながる。
都内の都市開発で繁華街に高層住宅が建設される場合、一階は必ず質の高い魅力的な商店が並ぶことが通例である。
最近できた都心の丸ビルの場合には画期的な成功を収めた。
しかし志木駅周辺にいま建設されつつある高層住宅には、一階に商店街が作られる計画はほとんど無いようだ。
大型の商業施設が整備されれば充分であって、以前から続いていた小売店が苦戦を強いられている現状では、
新たなテナントを探すことは難しくなった。
一階からすべてを居住専用とするビルの建設は、いまや不動産業者の戦略となってしまったのだ。
朝霞市「ハケの山」の基礎工事は急ピッチで進む(本紙3号参照)